EdgeがChromiumベースになる事への自分の気持ち

この記事は日記としてこの時の気持ちを保存する意図で書かれたものであり、技術的な話ではなく、自分の気持ちを基準に書かれている自分向けの記事です


噂として第一報を聞いたのはのことでした

Microsoft is building a Chromium-powered web browser that will replace Edge on Windows 10 | Windows Central

この時は話半分で聞いており、本当だとして、MSとして合理的な判断だとは思うが、Webの多様性が殆ど消えてしまうtweetしていました

そもそもEdgeはGoogle Chrome互換の実装を標榜していましたので、EdgeをGoogle Chromeのクローンとして車輪の再発明をするより、OSSマルチプラットフォーム化もできており完成度の高いChromiumをそのまま使う方が明らかに合理的です

ただ、この時点ではっきりしていたのはMicrosoftによるChromiumへのパッチ提供が増えているという話だけだったのであくまで噂として認識しており、例えばMicrosoft Office Onlineの互換性向上とか、Android版Edgeのためのパッチ提供ではないかと考えていました

そんな訳でMicrosoftから正式な発表があった時はかなり驚きました

第一報正式発表を聞いた自分の気持ちは ブラウザエンジンがBlinkに大統一されることを私は歓迎しない。しかし、そのコストを自分がメインで使っているわけでもないのにMicrosoftに払えと言い続けるのも違うと思っているのでMicrosoftの判断を非難する気はない。とりあえず今まで通りMozillaを応援する でした

この気持ちは3日経った今も変わらず、Microsoftのこの判断は商売としては妥当なものだと思いますし、普段メインブラウザとして使っている訳でもない私がWebの多様性というお題目の為だけにEdgeHTMLやChakraの開発をし続けろというのも違うと思っていますが、その上で非常に残念と思っています


根本的な話として、この話を聞いてお通夜状態の人もいれば、歓迎する人おり、自分はお通夜状態の人になります

しかし、歓迎側の気持ちも分かるつもりで、複数の実装があってそれぞれの機能の実装の判定やバグを回避しながらWeb Applicationを作るというのは控え目に言ってしんどい以外の何物でもなく、バグはもちろんのこと、実装が遅いブラウザ相手のサポートをせねばならない時の恨み言は1つや2つでは済まないだろうと思います

そう考えるとWeb Application開発者でブラウザエンジンの大統一を理想とする人がいるのは当然とすら思いますし、今大統一に一番近い立場にいるのはChromiumですから、今回のニュースを理想の到達に一歩近づいたと喜ぶ人がいるのも当然と思います

一方、自分としてはWebの世界はユーザーがカスタイマイズできる、一つのリソースを複数の利用方法で使えるのが魅力であると考えており、例えばユーザーが自分の利用目的に合わせて多様な拡張を組み合わせてブラウザを使ったり、ユーザーが自分の視力や色覚に合わせて文字サイズやフォントを変えたり、或いはコントラストや色を変更し、スクリーンリーダーを使って情報を得ることができるのがWebの良い所だと思っています

そして、上記の魅力を実現するためには、リソースの製作者が多様な利用法を想定してリソースを用意し、複数の実装でリソースの表示結果を確認するのが理想だと考えており、私はたった一つの圧倒的なシェアを誇る実装がデファクトスタンダードとなり、Webの制作現場が「1つの実装にのみ対応するリソースを用意すればよい」となってしまう事を恐れています

また、仕様策定の現場においても単一の実装がシェア7割を持った状態で「その仕様には対応しない」と判断すれば、実質その仕様は死に体になってしまいますから、どうしてもその単一の実装を向いて作業せざるを得ない状況が発生してしまうと思います

更に、実装側の製造の現場でも、合理的な判断の結果として「確かに仕様違反であるが、圧倒的なシェアがあり影響が非常に大きいため、互換性保持の為に修正はできない」と言う事もある訳で、結果としてデファクトスタンダードが本来守るべき仕様を侵食してしまう事もあろうかと思います


上記の様に懸念は色々するのですが、だからといって自分の掲げる理想の為に口先だけでMicrosoftにEdgeHTMLを作り続けろというのも、Webの現場に複数の実装のバグ対応などの費用を払い続けろというのもそれは違うと思う訳で、繰り返しになりますが、とりあえず自分は今まで通りMozillaを応援します