Windows VistaのUACを無効にすることを勧める記事の批判

要約
OSの導入直後に、コンピュータに詳しくないと自覚する人たちに対してセキュリティを弱める設定を煩雑な印象を持つという理由で紹介するのは如何なものか。OSの導入直後は設定はすべてデフォルト、セキュリティパッチもウィルス対策ソフトも入っておらず、更に一番internetからのダウンロードなど出自が怪しい外部からのソフトウェアを実行する機会が多い、無防備でウィルスやクラッカの標的にされる状態ではないかと思われる。

Windows Vistaの新機能の一つにユーザーアカウント制御 (以下、UAC) がある。
UACとは管理者権限のユーザでも平時は一般ユーザの権限でプログラムを実行し、管理者権限が必要な場合は画面が暗転した上でダイアログが表示され、ユーザの確認を行った上のみ管理者権限でプログラムを実行する仕組みである。
これにより無自覚にシステム全体に影響を与えるようなプログラムを実行してしまうような事故を防ぐことが出来る。
ところが、Windows Vistaの紹介記事を読んでいるとUACを無効にする方法を教えている記事がある。
例えばWindows Vistaスマートチューニング 7 ユーザーアカウント制御(UAC)を無効にするがそうだ (以下、この記事の批判の内容となるが、記事はたまたま検索で見つけた一例であり、特にこの記事や、著者を批判する意図はない)。

セキュリティ視点からすれば実に有益な機能ながらも、利便性に影を落としてしまうという欠点も備わっています。特にWindows Vista導入直後はデバイスドライバのインストールや設定変更を行なう場面が多いため、昇格プロンプトダイアログの登場頻度も多くなり、煩雑な印象を持たれる方も多いのではないでしょうか。

ただし、個人的見解を述べればUACの無効化はお勧めできません。前述したセキュリティ対策機能の無効化や、Internet Explorer 7の保護モードが使えなくなるなど、メリットよりもデメリットが大きいため、コンピュータに精通されていない場合、UACの無効化も一時的な措置として行なうことをお勧めいたします。

要するに個人的見解を述べればUACの無効化はお勧めできませんが、一時的な措置ならコンピュータに精通していなくてもWindows Vista導入直後は煩雑なのでUACを無効にしましょうということである。
しかし、OSの導入直後に、コンピュータに詳しくないと自覚する人たちに対してセキュリティを弱める設定を煩雑な印象を持つなんて理由で紹介するのは如何なものか。
OSの導入直後は設定はすべてデフォルト、セキュリティパッチもウィルス対策ソフトも入っておらず、更に一番internetからのダウンロードなど出自が怪しい外部からのソフトウェアを実行する機会が多い、無防備でウィルスやクラッカの標的にされる状態ではないかと思われる。
UACを無効にするなとは言わないが、Microsoftがわざわざ煩雑なインタフェースを採用したのか、意図を理解せず無効化するのは危険である。